ひつじの雑記帳*

本と野球と珈琲紅茶。たまに映画。ブログ名を変更しました。

私も『ゴールデンカムイ』が大好きだ

おすすめ記事に載せて頂き、読者さんとPVが急激に増えてうれしいを通り越して戸惑っています…中途半端なおたくが好きなことを好きなときに語るだけのブログです。面白いことはとくに書けないかもしれません。すみません。でもありがとうございます。

そして今日はまた好きを語りたくて書きます。既に十分話題になっている野田サトルゴールデンカムイ』(集英社)。マンガ大賞2016大賞、アニメ化に続いて手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞とたいへんおめでとうございます。好きな漫画がたくさんの人に読まれるのはすごくうれしい。面白いの輪が広がっていくのは楽しい。

そのような折、金カム好きの間で話題になっていたこちらの記事。

note.mu

100話無料公開をきっかけにハマったという方が書かれたすごく熱量のある面白い紹介記事だ。読みながら、その通りだといちいち頷いた。読み始めてすぐにこの記事を書ける情熱はすごい。私も初めて読んだ3年ほど前、身近な人たちに片っ端からおすすめしていたことを思い出した。そもそも私は「ニワカ」という言葉が嫌いだ。

突然恋に落ちることがあるように、「好き!」はいつだって俄かに訪れる。思い立ったらすぐに全力でシェアし、それで読者が増えたら作品にとってプラスでしかない。

が、そう思っている私でも恋するティーンエイジャーのように叫びたい。
でも、私のほうが先に杉元のこと好きだったし!!!と。

ゴールデンカムイ 10 (ヤングジャンプコミックス)

物語の主人公は日露戦争帰りの元軍人、杉元佐一。瀕死の重傷を負っても翌日には戦場に戻り、「不死身の杉元」と呼ばれていた彼がとにかく強くて格好いい。

作品全体の素晴らしさについては既にいろいろなところで書かれているので、私は何故彼のことをこんなにもいい男(というか漢)だと思うのかを自分のために整理してみたい。単に強いだけが彼の魅力ではないのである。

ゴールデンカムイ 11 (ヤングジャンプコミックス)

言わずもなが、杉元には相棒となるアイヌの少女アシリパがいる。彼からすればまだ子供だろう。しかし杉元はアシリパのことを呼ぶとき必ず「アシリパさん」と呼ぶ。「アシリパ」でも「アシリパちゃん」でもない。いつも「アシリパさん」だ。

相手が誰であれ、尊敬できる人間には敬意を表する。彼女のことを子供でも女でもなく、ひとりの人間として見ているからこそ自然とそう呼べるのだと思う。それが杉元のまっすぐなところ。逆に、第1話ではこのようなセリフがある。

「気に入らない上官を半殺しにしなきゃ
 金鵄勲章もらって今頃はぬくぬく年金暮らしだ」(第1話) 

身分や立場にとらわれない、逆に言えば不器用な男なのだ。でもそこがいい。

そして彼は、人に対するレッテル貼りを極度に嫌うところがある。それは自身の体験に基づくもの(家族がみな結核で命を落とし、村八分のような状態に陥った彼は自分で家に火を放って出奔する)だと思われるが、アシリパのことを白石から「そのアイヌはお前さんの飼いイヌか?」と言われたときも怒りを露わにする。

アゴを砕いて本当にしゃべられんようにしてやろうか」
「よせ杉元 私は気にしない 慣れてる」
 慣れる必要がどこにある(第6話)

アシリパが「慣れてる」と言えば、「慣れる必要がどこにある」と決して人から理不尽な侮辱を受けることを許さない。それも、彼が人一倍他人を尊重できる人間だからだ。惚れる。

ところでこの物語の始まりは、アイヌが隠した金塊を探し出すことだ。そして杉元がどうして金塊を手に入れたいかと言えば、日露戦争で命を落とした親友の妻(そして自分も好きだった)、梅子の失明しかかった目を治すための金が必要だったからである。

自分が村を出奔するとき「連れてって」と言った梅子を振り切り、二年経って結核が発症しなければ必ず迎えに来ると心に決めて二年後に戻ってみれば、梅子はちょうど親友の元に輿入れするところだった。(第6話)それを知っても邪魔することなく、梅子の花嫁姿を微笑んで見守り、彼女と親友の幸せを善しとする男だ。泣ける。

しかし話はめでたく終わらない。戦争により親友は帰らぬ人となり、その僅かな遺骨を届けるためにほとんど目の見えない梅子の元を訪ねてみれば、杉元から血の臭いを嗅ぎ取ったらしい梅子から、悲しい言葉を投げかけられてしまう。

「佐一ちゃんわたし……もう目が…ボンヤリとしか見えなくて」
「佐一ちゃん帰ってきたの?」
「あなた…どなた?」(第15話)

そこで、自分が「佐一だ」と言えない杉元なのである。

梅ちゃん…俺はどんな臭いがした?
梅ちゃんの知ってる俺はもうこの世にいないのだろうか
眼が治っても すぐに俺だとわかってくれるかな…(第15話)

普段から「俺は不死身の杉元だッ!」と叫んでは敵やヒグマに突進し、斬られても刺されても撃たれても死なない男が惚れた女の前ではこんなにも弱い。可愛いかよ。

さて、話が進めば別に金塊でなくとも金が手に入ればいいじゃないか、という流れになることもある。もし競馬で一山当てて金が手に入ったら杉元はどうするか。

「命なんかかけなくても稼ぐ方法が目の前にあるじゃねえかッ」
「必要な額のカネが手に入ったから「いち抜けた」なんて そんなこと……
 俺があの子にいうとでも思ってんのかッ 」
(第62話)

金塊を探す理由は各々あるが、アシリパの場合は事の発端となった囚人が実の父かどうかを見極めたいがための旅である。そして杉元は金塊を手に入れようが入れまいが、ここまできたらアシリパの目的に最後まで付き合うつもりなのである。

それはこれまでの道中で彼女の人格を知り、また世話になったことに恩義を感じているからかもしれない。金ではなく、人で動く男なのだ。

それに引きかえ白石お前はいつもいつも…と思うが白石のおかげで杉元の男っぷりが引き立つので、やっぱりいないとダメだ。

ゴールデンカムイ 9 (ヤングジャンプコミックス)

そしていつか白石がそのクズキャラを捨てて粋な場面を見せるときが来るのではないかと密かに期待し続けている。

ちなみに最近また「杉元好き」と思ったのは第117話である出来事から皆が皆に対して不信感を募らせ、誰を信用すればいいのかわからんという場面。

「それで…どうすんだよ みんな疑心暗鬼のままだぜ?」
「誰かに寝首をかかれるのは勘弁だな」
「行くしかねえだろ のっぺら坊がアシリパさんの父親なのか
 違う男なのか…会えば全部ハッキリする
 網走監獄へ行くってのは最初っからずっと変わらねえ
 インカラマッとキロランケ 旅の道中もしどちらかが殺されたら……
 俺は自動的に残った方を殺す!!これでいいな!?」(第117話)

「なんてなッ!!アッハッハ…」と続ける杉元だが、たぶん彼なら本気で殺る。誰の味方もしない。贔屓もしない。男も女も関係ない。ただし汚いことをした奴は殺す。その単純さも、やっぱり魅力だ。

と、ここまで彼をすごくいい奴のように書いてきたけれど、決して聖人ではない。何故なら彼は自分が殺されるくらいなら躊躇なく相手を殺す。言い換えれば、自分の正義に当て嵌まらない奴は全部殺すマンなのだ。そしてその信念は上記に書いたように、金や名声、権力でどうこうできるものではない。

おそらく白石は早々に杉元がそういう男であることに気付いている。だから杉元に対して「こいつが一番おっかねえ」(第42話)とか思ったりする。その気持ちもわかる。もしかしたら杉元はものすごく独善的なエゴイストなのかもしれない。でも私は今の時点で、杉元の正義にはすべて共感する。嫌いになれない。だから全力で彼を推す。

と、思いつくままにつらつらと書いただけで3000字くらい書けるものですね。もしかしたらこれを読んだ方のなかにも「私のほうが杉元好きだし!」とか「谷垣のほうがいい男だ!」とか「尾形について語らせろ!」とかいう方がいるかもしれない。

どうかその「好き」をぜひ発信してください。私にはもう谷垣や尾形のことまでプレゼンする気力がない。(これだけでも結構疲れた)むしろ誰かのプレゼンを読みたい。

最初に紹介した記事が多くの人にシェアされたのも、きっと皆が共感したからだと思う。それぞれこの作品が好きで、面白いと思っている。いっそTwitterとかで「#私もゴールデンカムイが大好きだ」みたいなタグを付けて、一言でも二言でも自分の好きポイントをアピールすれば、それが誰かの琴線に触れてまた読者を増やすかもしれない。

以上、独断と偏見による杉元プレゼンでした。皆ゴールデンカムイを読もう。

アニメもすごく楽しく観ています。格好いいよ杉元。