ひつじの雑記帳*

本と野球と珈琲紅茶。たまに映画。ブログ名を変更しました。

マンガ大賞2018:ノミネート作品すべて読みました

マンガ大賞2018が発表されました。

www.mangataisho.com

3年前からノミネートされた作品をすべて読んでおりまして、自分用の備忘録を兼ね、今年読んだ作品の感想を少しずつ書きます。とても個人的な感想です。
※2017年中に刊行された巻までしか読んでおらず、最新刊や本誌の内容を知らずに書いている作品もあります。ご容赦ください。
※タイトル50音順。

 

  

『映画大好きポンポさん』杉谷庄吾人間プラモ

ネットで話題になったウェブコミック。敏腕映画プロデューサー少女のポンポさんが映画製作のいろはを解説しつつ、アシスタントのジーン君が才能を開花させてゆく話。映画に関して無知な私は終始「へえ」「ほう」という感じで読んだけれど、いろいろ映画を観てから読んだほうがもっと共感して楽しく読めた気がします。ハリウッド系の名作映画を一通り観てからでないと、この漫画のほんとの面白さはわからないのかも。

 

映像研には手を出すな! 1 (ビッグコミックス)

映像研には手を出すな! 1 (ビッグコミックス)

 

『映像研には手を出すな!』大童澄瞳

女子高校生3人組が映像研を立ち上げてアニメ製作をする話。個性的な絵柄や話のテンポがいかにもサブカルチャーな感じで最初はそのテンションに付いて行けなかったのですが、2巻まで読むと3人の性格や役割がわかって面白い。3人にはそれぞれ監督、アニメーター、プロデューサー的な割り振りがなされているのですが、プロデューサー役の金森さんを見ていると、天才だけがいても作品は世に出ないのだなと痛感します。読み進めるうち、最初はごちゃごちゃしていると思った絵が映像のように見えてくるので不思議。この作品をアニメにするのは逆説的でおかしいかもしれないけれど、アニメで観てみたいなー。

 

ゴールデンゴールド(1) (モーニング KC)

ゴールデンゴールド(1) (モーニング KC)

 

ゴールデンゴールド堀尾省太

離島に住む少女がミイラのような「フクノカミ」を拾い、その日から見えない力で日常がじわじわと侵食されてゆく話。昨年に引き続きノミネート。3巻に入って更にフクノカミの怖さ、不気味さが増している感じ。ささやかな願いが望まぬ形で無理やり叶えられてゆくことの怖さ、そして周りの人が何かに操られているとわかったときの怖さよ…。フクノカミはもちろん怖い(3巻はとくに集合体が気持ち悪い…)けど、もともとは人間の欲深さが原因で、フクノカミはちょっと手を貸してあげているだけかもと思うと人間も怖い。そう、人間が怖い。大事なことなので2回言っておきます。

 

ダンジョン飯九井諒子

あらすじを説明するまでもない人気作品。9巻が出るまでノミネートされ続けるのかもしれない。話はどんどんシリアスになっていくのに、ちゃんとダンジョンで飯を作り、コメディの要素を入れてくるところがすごい。キャラクターひとりひとりが人間味に溢れていて、ほんとに魅力的で大好きです。5巻はチルチャックが可愛くて(一番の常識人よね)、マルシル石化の回でずっと笑っていた。今また読み返してみたけど、やっぱり笑えるし好き。もう順位とか関係なく好きです。

 

とんがり帽子のアトリエ(1) (モーニング KC)

とんがり帽子のアトリエ(1) (モーニング KC)

 

『とんがり帽子のアトリエ』白浜鴎

魔法を「書く」ことで使う世界で、よくわからないまま力を使い、母を石にしてしまった少女が、正式に魔法使いの弟子となって一人前の魔法使いを目指す成長譚。マンガというより児童書を読んでいるような気分になります。絵も一枚絵を思わせるイラストのような雰囲気なので、余計にそう思うのかもしれない。グッズ化したら大人でもわくわくする感じの素敵な魔法アイテムがたくさん出てくるので、文房具メーカーは早くコラボするべきではないでしょうか。もうしてたりするのかな?

 

凪のお暇 1 (A.L.C.DX)

凪のお暇 1 (A.L.C.DX)

 

『凪のお暇』コナリミサト

空気を読み、つつがなく日々を過ごすことに終始していたOLが、彼氏の裏切りを機に過呼吸となり会社を辞め、都心を離れてスロー無職ライフを始める話。冒頭に出てくる「空気は読むものじゃなく吸って吐くものだ」は名言。絵がコミックエッセイのような雰囲気で、生活を豊かにする豆知識が出てくるのも楽しい。そのためそれほど生々しくは感じないけれど、がっつり恋愛ものでもあります。手酷く裏切ったはずの元カレも実は複雑な人間だったとわかってからすごく面白い。君が再び凪チャンの救いになれる日が来るのか来ないのか。主人公が引越した先の住人たちも個性的で素敵です。私は面白いけど、こうした話は男性からの共感を得難いのでは?と思ったのですが、そんなことはなかった…。

  

BEASTARS 1 (少年チャンピオン・コミックス)

BEASTARS 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 

BEASTARSビースターズ)』板垣巴留

動物が擬人化した学園もの。擬人化はアンパンマン的な平和な擬人化ではなく、ズートピア的な動物それぞれの特性を残した擬人化です。草食獣は肉食獣を恐れ、肉食獣はそれに戸惑い…という永遠のテーマを軸にしている。主人公の狼が気弱で優しく、ヒロインの兎が肉食系女子なのが面白い。兎のほうがガツガツしてるけど、野性味を出したらもちろん狼のほうが怖いわけで。これからどう折り合いをつけていくのだろう。絵がしっかりリアルな動物寄りなのに、イケメンや美女であるとわかるのがすごい。パンダも普通におじさんに見える。後半、徐々に話が学園内におさまらない感じになっていたけど、どこまで広がっていくのかしら…?

 

不滅のあなたへ(1) (講談社コミックス)

不滅のあなたへ(1) (講談社コミックス)

 

不滅のあなたへ大今良時

「死ぬことのない何か」である主人公が、自分の前で命を落とした者の姿(人間に限らず)を写し、文明に分け入って人と関わることで成長していく物語。と、言っても全然話がわからないですよね。あらすじを一言で説明するのがとても難しい。物語の性質上、必ず人が死に、ハードな展開が多いので読んでいてとてもエネルギーを消耗しました…『聲の形』も読むのが辛かったなあ(年々、悲しい話や辛い話を読むのにエネルギーを要するようになってきた…)。ただこの作品は単に辛いだけでなく、「人間とは何か」を否応なく考えさせられるところがすごい。話が進むにつれて全く違うものに姿を変えていく主人公というのも漫画でしかできない表現だし、上手く言えないけれどいろいろすごい。と、思って読んでいたが5巻末で出てきた第三者は何者かな。彼が出てくるまではとても大きな話だと思っていたのだけど。主人公の出自が明らかになったとき、初めてこの物語のスケールがわかるのかも。

 

メイドインアビスつくしあきひと

人類最後の秘境「アビス」と呼ばれる底無しの縦穴を降り、真実を探す少女とロボットの少年の話。観ていなかったけれどアニメCMの印象がゆるふわな感じで素敵だったな、と思って読み始めたらゆるくもふわともしていませんでした…なんてハードな話なんだ。こちらも読むのにかなりエネルギーを使いました。絵とあらすじだけの知識だけで読むとびっくりします。人体実験とかキメラとか、グロテスクなものが苦手な方にはおすすめしません。人によっては苦手かもしれない表現もあったりする。コメディぽくはあるけれど、少女を裸で吊るしたりね。途中から出てくる獣人のナナチが可愛いのだけれど、そのナナチの生い立ちにしたって酷い…もっと覚悟して読むべきだった。

 

約束のネバーランド出水ぽすか白井カイウ

「ママ」のもとで育てられる大勢の子どもたち。彼らは一定の年齢になる前に姿を消す。命を狙われていることに気付き、消される前に逃げようとする子どもたちの話。昨年に引き続きノミネート。 だいぶ話が進んで敵はママでなく世界全体だとわかり、他の大人も出てきて大きな話になってきました。最初はすごくカズオイシグロの『わたしを離さないで』を感じたけれど、もうそんな雰囲気は微塵もなく、すごく少年マンガ的な展開になってきたと思う。たぶんノーマンは死んでないよね?と思うのだけどどうだろう。もし再登場することがあるのなら、敵になっていないことを祈る。

 

ランウェイで笑って(1) (講談社コミックス)

ランウェイで笑って(1) (講談社コミックス)

 

『ランウェイで笑って』猪ノ谷言葉

身長158cmの少女がスーパーモデルを、経済的に余裕のない母子家庭の少年がデザイナーを目指す話。タイトルだけで少女マンガだと思い込んでいたら、すごく王道の少年マンガだった。ファッションの話がこんな形で少年マンガにはまるとは思いもよらず、(そして雰囲気と展開にとても少年マガジンを感じた)楽しく読んだ。今年のノミネート作品のなかで、最も少年マンガらしいマンガだと思う。主人公の育人くんが可愛いおかっぱ男子なので、そのうち「おかっぱの美少年に関する一考察」という記事を書きたいと思うほどにはおかっぱ男子が好きな私はちょっと贔屓目に見てしまうね。頑張れ。物語は始まったばかりなので、これからの展開に期待。

  

我らコンタクティ (アフタヌーンKC)

我らコンタクティ (アフタヌーンKC)

 

『我らコンタクティ』森田るい

日々の生活に嫌気がさしているOLが、町工場で働く幼馴染が本気でロケット開発をしていると知り、儲けるために利用してやろうという話。 もちろんそれは物語の導入で、後から儲けるとかそういう話はどうでもよくなってくる。ロケットは発射のためにたくさんの燃料をくっつけて飛ばし、宇宙に出るまでに使い終わったものを少しずつ捨てていく。ラストにかけて、その比喩が巧みに使われていて面白い。飛ばしたロケットはスクリーンを広げ、テラリウムの発電機を使って宇宙で永久に映画を上映し続けるというシチュエーションも素敵です。何となく、町田洋の『惑星9の休日』を思い出す。マンガだけど、とても文学的でした。


・・・・・★

どれもちょっとした感想なのに、思ったよりも時間がかかってしまって疲れた…。そうだ、ブログは短い文章でも書くのに結構時間がかかるのだった。

どうでもよいことですが、何故か当初『映像研~』はモーニング、『ビースターズ』はジャンプ、『ランウェイ~』はマーガレットだと思い込んでいて、見当違いの棚を必死に探していた。書店を離れて早数年、いろいろ疎くなっています…。

やたら「すごい」「面白い」と語彙力のない感想ですみません。これから読む人がいるかもしれないし、あまり偏った意見になり過ぎないほうがいいなと思うとそれしか出てきませんでした。ちなみに私の今年の推しは不滅のあなたへ』『映像研には手を出すな!』『ランウェイで笑って』で、いずれもトップ3には入りませんでした。

という経験を何度か繰り返すうちに、マンガ大賞は大賞を選出するためだけにやっているのではなく、ノミネートされるすべての作品と今のマンガを知ってもらうためにやっているのだろうと(勝手に)思うようになりました。大賞しか読まないのはもったいないよ。

とは言え全部に目を通すのはなかなか難しいことで、私も責任が伴わなければ全巻読むということはしていないだろうから、簡単に全部読んでみるといいよとは言えないのですけれど。それでもこれを読んでトップ3以外にも興味を持って頂けたらうれしいです。

※文中に出てきた他の本を以下に貼っておきます。『惑星9の休日』はとてもおすすめ。 『わたしを離さないで』は実はドラマでしか見てないので、ちゃんと読まねば…。

聲の形(1) (講談社コミックス)

聲の形(1) (講談社コミックス)

 

 

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 

 

惑星9の休日

惑星9の休日